直す・治す どう違う?【雑学】
「直す」は「もとの良好な状態に戻す、改める」「別の状態に変える」という意味す。一方、「治す」には、「病気、傷、飢え、苦しみ、悩みなど不健全な状態をなおす、治療する」という意味。本記事では、違いを解説します。
「直す」と「治す」の違いとは?
日常生活の中でも、よく耳にする「なおす」という言葉ですが、漢字にしなければならない場面では途端に「直す」と「治す」、どちらを使えばよいか迷ったりしませんか? どんなシーンでも使い分けができるよう、二つの「なおす」の違いや意味を正しく理解しましょう。

「直す」の意味
まずは「直す」から確認していきましょう。「直す」とは、あるものの位置や形状を、乱れた状態から元の状態に戻すことを表します。そして、ものの位置や形状だけでなく、働きや機能などにおいても同じようにいえます。破損や故障などによって機能しない状態になっているものに対し、その不具合を正すことによって、元の機能する状態に戻すことを、「直す」と表現することができるのです。
また、「直す」には、「元に戻す」という意味の他に、「望ましい状態に変える」という意味も。具体的には、人の性質やある情報などを、本来こうあるべきであると考えられる望ましい状態にすることを表したりします。
「治す」の意味
一方、「治す」とは、人や動物の怪我や病気を健康な状態に戻すことを指します。言い換えると、人や動物が怪我や病気によって、身体の機能が損なわれている場合に、それを正常な状態に戻し、機能するようにする、ということ。
「治す」は、怪我や病気に関する文章でのみ使うことができる言葉なので注意が必要です。「治す」は「治療する」と言い換えることもできます。また病気や怪我だけではなく、歯並びを矯正して綺麗にする際など、体を今の状態からよい状態に改善していく際にも使われます。
「直す」の使い方を例文でチェック
それでは、「直す」から使い方をチェックしていきましょう。

1:化粧が崩れたので、直す
これは、一日の終わりに差しかかった時間帯に、よく使われるフレーズですね。時間が経って崩れてしまったメイクを整えて戻すということ。ものの形状や位置の乱れに焦点が当たっている表現なので、「直す」を使います。
2:甘いものを食べて、機嫌を直す
「機嫌を直す」というフレーズは、日常生活においてよく使われます。人のマイナスな状態、つまり機嫌が悪い状態を、元の状態に戻すという意味で使われます。この際使われる「機嫌」や「気分」はマイナスな精神状態のことを指しますが、「怒り」や「悲しみ」といった特定の感情を対象にすることはできません。また、「直る」のは一時的であり、回復するのに特別な医学的処置を要するものでもないとされています。
3:気分屋な性格を直したい
性格は、人によってそれぞれ。この場合に使われる「直す」は、人の性質を本来こうあるべきだ、という望ましいように変えるという意味になります。
この「直す」は、望ましい状態にすることを表すために使うので、例えば「明るい性格を直す」というような使い方はとても不自然です。しかし、よい性質であっても、その度が過ぎる場合は、「直す」対象とすることができます。例えば、「明るすぎる性格を直す」といった感じです。
4:父に、壊れた時計を直してもらう
ここで使っている「直す」は、壊れた時計を元の状態に戻すことを表しています。例えば、イヤフォンが切れてしまったとき、ただ線を繋ぎ合わせるだけでは「直る」とは言えず、線を繋ぎ合わせた上で、きちんと問題なく音が聞こえる状態になれば「直る」と表現することができます。
「治す」の使い方を例文でチェック
次に、「治す」の使い方を詳しくみていきましょう。「治す」は、怪我や病気に関する文章でのみ使える言葉なので注意が必要です。

1:風邪を治す
この場合の「治す」の対象は、人や動物です。人や動物を健康な状態にする際に、「治す」が用いられます。しかし、「風邪を治す」と表すことはできますが、「鼻水」、「せき」、「熱」など、風邪の症状について使うことはできません。症状については、「鼻水(咳)を止める」「熱を下げる」となります。
2:歯医者に行って、歯並びを治す
「歯並びをなおす」という文の場合、身体の一部である歯の状態を今の状態よりもよい状態にすることなので「治す」を使います。
最後に
今回は、「直す」と「治す」の違いについて、意味の違いから用法の違いまで詳しく見てきました。「直す」は、あるものの位置や形状を乱れた状態から元の状態に戻すこと、好ましい状態に変えること。それに対して、「治す」とは、人や動物の怪我や病気を健康な状態に戻すことを表しています。
「なおす」対象や、どのような状態にするのかによって、表現の違いがあるということがわかりました。「なおす」を漢字で表記しなければならないときに迷ったら、本記事を思い出してください。